むし歯や歯周病、事故など、様々な原因で人は歯を失います。かつて、歯を失った場合は違和感の強い入れ歯を我慢して入れたり、隣り合った健康な歯を削って支えとするブリッジを入れるのが一般的な治療法として普及してきました。

しかしこれらの治療にはいくつかの不自由や問題があります。このような問題を抱える患者さまのために、研究、開発されたのがインプラント(人工歯根)による治療です。近代インプラント治療が登場してから40年以上がたち、いまや世界中で年間数百万本のインプラント治療が行われ、日本でも毎年数十万本が使われています。

歯は目で見える部分の歯と、それを支える歯根から成り立っています。歯を失うということはそれを支えている歯根も失ってしまうということです。

インプラント治療は、失われた歯根の部分にチタン製の歯根を新たに埋め込んで歯の支えとするものです。この治療方法では、残っている健康な歯への負担が入れ歯やブリッジのように増加することがありません。

顎の骨に自然の歯と同じように刺激が伝わり、力を加えることができるため、骨の変形も少なくすることも知られています。インプラント治療は天然の歯とほとんど変わらない感覚で物を噛んだり会話を楽しむことができるため「第二の永久歯」ともいわれています。

私たちの奥歯は一本で約50キロ、ほぼ成人の体重を支えるほどの強さがあります。こんな強い歯でもむし歯や歯周病に侵されて失われるにしたがって物を噛み砕く力(咀嚼能率)は徐々に低下します。例えば奥歯一本を失うと咀嚼能率は30~40%も低下してしまいます。

従来の治療法として、失った歯が1~2本の場合は、隣り合った健康な歯を削って支えとする「ブリッジ」、数本失った場合は残っている歯にバネを引っ掛けて固定する「部分入れ歯」、全ての歯を失った場合は歯ぐきに吸着させる「総入れ歯」を作るのが一般的な治療法として普及しています。
しかしブリッジや入れ歯には問題が多く、患者さまにとって大きな負担となってしまいます。

  長所 短所
インプラント
  • 噛み合わせの安定を長期間保つことができる
  • 失った歯の数が多い場合にも咀嚼機能を回復できる
  • 健康な歯を犠牲にする必要がない
  • 自然の歯と同じような機能が期待できる
  • 失った部分の顎の骨がなくなるのを防ぐ
  • 自分の歯と同じように見える
  • 適切にケアをすれば十分長持ちする
  • 手術が必要となるため、適応とならない場合がある
  • 比較的費用がかかる
  • 高度な熟練、滅菌システム、精度の高い技巧操作などが必要
入れ歯
  • 短期間であれば咀嚼機能をある程度回復できる
  • 比較的短期間のうちに機能回復がきでる
  • 病気がちの人でもケアしやすい
  • 入れ歯を支える骨や歯の喪失を招きやすい
  • 新たに歯を喪失する危険性が増す
  • 長期間の使用により顎の骨が次第に失われる
  • 数年ごとにつくりかえたり、調整をする必要がある
  • 安定した噛み合わせを長期間維持できない
  • 装着による違和感を感じやすい
  • 自然な外観を損ねることが避けられない
  • 思うように発音できない場合がある
  • 顎の骨がやせた人の場合は安定しにくい
ブリッジ
  • セラミックなどを使えば自然の歯と同じような外観を回復する事ができる
  • 自分の歯と同じように咀嚼できる
  • 噛み合わせを回復する事ができる
  • しっかりとした歯が両側にないと治療できない
  • 失った歯が多いと治療できない
  • 健康な歯を削らなければならない
  • 土台にした歯に負担がかかる
  • 複雑になるので清掃性が悪くケアしにくい
  • 歯周病にかかりやすい
  • 新たに歯を喪失する危険性が増す
  • セラミックなどを使った審美性の回復には保険の適用が受けられない

安心・安全に治療を行うために

当医院では患者さまに安心・安全なインプラント治療を行うために
以下のような治療の流れで処置を行っています。

Step1 検査、検診

一般的なお口の中の診査(むし歯や歯周病)やデジタルレントゲンによる診査、かみ合わせ、お体の状態を診査します。

Step2 CTによる精密検査とコンピューターシュミレーション(シムプラント)

インプラント治療に必要な検査を綿密に行います。CTを用いてインプラントを植立する部位の骨の量が十分にあるか、骨の質は適切かを検査します。
その他、モニターを用いて全身的な疾患がないかを調べ、かみ合わせや周囲の歯の状態はどうかなど、必要な検査を行います。

Step3 インフォームドコンセント

Step1、Step2の診断に基づき、それぞれの患者さまにあった治療計画をたてます。
皆様のご希望と我々の専門的な見解を踏まえて、治療の概要から最終的な上部構造が入るまで、また、定期検診にいたる経過や治療期間、治療費用に関してご説明します。

Step4 インプラント埋入術

実際の手術は、粘膜を少し開き、インプラントを植立するための穴を開けます。そしてインプラント体をその穴に植立して粘膜を縫合します。
手術には1回法と2回法があり、当院では基本的に2回法での手術を行っておりますが、患者さまの骨の状態によって1回法を選択させて頂く事があります。


  • 一次手術(土台作り)

  • 二次手術(頭出し手術)
Step5 治癒期間

手術後は、インプラントが顎の骨にしっかり結合するまで、3ヶ月程度の治癒期間をおきます。
この間は、仮の歯を使用していただきますので、歯がなくなる心配はありません。

Step6 印象採得(型取り)

インプラントと顎の骨の間に十分な結合が得られたら、インプラント部の型取りをします。
その後、それぞれのインプラントに合わせて精密に制作された上部構造がとりつけられます。このあとは計画的なメインテナンスへ移行します。

Step7  メンテナンス

上部構造を装着するとインプラント治療は終了になります。治療後は,装着したインプラントを長期にわたって機能させるために、また、他の歯を悪くしないためにも定期的な検診とホームケアを心がけていただきたいと思います。

ここでは部分的に失われた歯をインプラントによって治療する1例を示しましたが、広い範囲にわたって歯が失われた部位に複数のインプラントを植立する治療方法や、総入れ歯の方でも1日で固定式の歯を装着して噛めるようになる治療方法もありますので、何でもお気軽にご相談ください。

清潔な手術環境の整備
インプラント治療は外科処置になるので清潔な環境で処置を行う必要があります。そのため当医院ではインプラント治療を行うための個室を用意し手術環境を整えて処置を行っています。
CT・コンピューターシュミレーション
インプラント治療においては、顎の骨の硬さや形を調べることが必要になります、顎の骨の状態(硬さ、形、神経の位置)は一人ひとり異なります、CTで撮影された画像をコンピューターシステム(シムプラント)に取り込みこれらのことを術前に調べることにより適切な治療計画を立て、手術を安全に行うことができます。


骨の増生

サイナスリフト詳細部
インプラントはチタン製の人工歯根を骨に埋め込むものですから、治療をするには、顎に人工歯根が入れられるだけの骨の厚みが必要です。しかし、歯を失うと今まで歯を支えていた歯槽骨は徐々に吸収を起こしていきます、審美的、機能的に理想の位置にインプラントを入れるためには吸収してしまった骨を増生させる必要が出てきます、この場合骨移植などの処置を行います、骨移植と聞くとその言葉の持つイメージから思わず身構えてしまう方も多いかもしれませんが、整形外科の分野では100年ほど前から行われている技術で、安全性は確立されています。また、骨を増やすことによってより多くの人が治療を受けられるようになりました。当医院では様々な状況に応じた骨の増生を行えるようにしております。
歯肉の増生
お口の中の歯ぐきは、歯の周りを覆っている線維性の付着歯肉とその下にある歯槽粘膜という2種類があります、歯を失うと線維性の歯肉は少なくなり粘膜の部分が多くなります。インプラント埋入後人工歯の周りがこの粘膜のままであると口の中の細菌に対する抵抗力が下がるため炎症が波及しやすく、ブラッシングに対する機械的刺激に耐えられなくなってしまいます。こういったことがおきないようにするためにインプラントを埋入するだけではなく、歯ぐきの環境も整えるために当クリニックでは付着歯肉を増やしてインプラント治療を終了し長期間患者さんに清掃しやすい環境を提供しています。

前歯インプラント

30代女性
左右側切歯は歯根破折のため抜歯になりました従来の治療法だと両隣の歯を削ってブリッジになりますがインプラント治療を行うことにより健康な歯を削ることなく天然歯のような透明感のある美しい歯に仕上がりました。真ん中の中切歯はオールセラミッククラウンにて修復しています。
40代男性
右上中切歯の接着性ブリッジが脱落しインプラントにて治療を行いました。ブリッジのときより清掃しやすくなり、審美的にも良好な仕上がりになりました。
20代女性
右上側切歯が虫歯により抜歯になりインプラントにて治療を行いました。
右上中切歯はラミネートベニアにて修復しています。

奥歯インプラント

50代女性
奥歯を数年前に抜歯されそのままになっていました、歯が一本ないだけでも咬みにくくなり反対側を良く使っていましたがインプラント治療を行うことにより左右バランスよくしっかりものが咬めるようになりました。
40代男性
奥歯2本の大臼歯が欠損しています。従来の治療法だと着脱式の部分入れ歯にしなければいけませんがインプラント治療を行うことにより天然歯とほぼ同じように機能的にも審美的にも回復することができました。

インプラント義歯

50代女性
歯周病によりほとんどの歯を失ってしまいました。下の入れ歯はガタガタしてしっかりものが咬めない状態です。上アゴは保存できる歯に磁石をつけて入れ歯の安定を図り、下アゴには入れ歯を支える歯が一本もないためインプラントを2本埋入することにより取り外しの入れ歯でも動かなくなり、快適に食事や発音ができるようになりました。

インプラント多数歯(上全部)

60代女性
上アゴの歯は歯周病の進行により全て抜歯になりました。従来の治療法だと取り外しの総入れ歯しか選択できませんでしたが、インプラント治療により取り外しの必要がなくしっかりものが咬めるようになりました。下アゴの天然歯は歯周病の進行を止める治療を行い保存され、奥歯はインプラントを行うことにより歯周病の治療を行った歯に負担がかからないようになっています。

インプラント多数歯(下全部+上入れ歯)

60代女性 上アゴは歯周病により多数歯が抜歯になりました、保存できる歯は歯周病治療のあと磁石をつけて入れ歯の安定をさらに強化しています。下アゴは全て抜歯になってしまいましたがインプラント治療により固定性の歯に仕上がりました。入れ歯はその構造上、解剖学的にも上アゴよりも下アゴのほうが安定させるのがとても難しいので下アゴが固定性になると劇的にものが咬みやすくなります。