歯科医院で「クリーニング」や「歯石除去」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
しかし、この2つは似ているようで実は異なる処置です。「どちらを受ければいいの?」「費用はどれくらいかかるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
歯石除去とクリーニングは、どちらも口腔内の健康を守るために重要な処置ですが、目的や内容、費用の面で違いがあります。
本記事では、長野県松本市の望月デンタルクリニックの現役歯科医師が、歯石除去とクリーニングの違い、それぞれの内容、費用について詳しく解説します。
歯石除去(スケーリング)とは?
歯石除去は、歯の表面や歯周ポケット内に付着した歯石を専用の器具を使って取り除く処置のことで、スケーリングとも呼ばれています。
歯石とは、プラーク(歯垢)が唾液中のカルシウムなどのミネラル成分と結合して石のように硬くなったものを指します。
歯石は表面がザラザラしており、その上にさらにプラークが付着しやすくなります。
歯ブラシでは絶対に取り除くことができないため、歯科医院での専門的な処置が必要になります。
歯石除去は主に歯周病の治療や予防を目的として行われ、保険診療の対象となります。
クリーニング(PMTC)とは?
クリーニング、特にPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは、歯科医師や歯科衛生士が専用の機械や器具を使って行う、より包括的な歯のお手入れのことです。
歯石の除去だけでなく、歯の表面に付着した着色汚れ(ステイン)やバイオフィルムと呼ばれる細菌の膜まで徹底的に除去します。
PMTCでは、歯の表面をツルツルに磨き上げることで、汚れが付きにくい状態を作ることができます。
虫歯や歯周病の予防はもちろん、歯の見た目の美しさを保つことも目的としているため、多くの場合、自由診療(保険適用外)として扱われます。
歯石除去とクリーニングの違い
以下の表で、歯石除去とクリーニング(PMTC)の違いを整理しました。
| 項目 | 歯石除去(スケーリング) | クリーニング(PMTC) |
| 主な目的 | 歯石の除去、歯周病治療 | 総合的な口腔ケア、予防、審美性向上 |
| 除去する もの | 歯石、歯垢 | 歯石、歯垢、バイオフィルム、着色汚れ |
| 保険適用 | 可能(歯周病治療として) | 基本的に適用外(自由診療) |
| 費用(3割負担) | 3,000~4,000円程度 | 5,000~15,000円程度 |
| 施術時間 | 30~60分程度 | 60~90分程度 |
| 通院回数 | 1~6回(歯石の量による) | 通常1回で完了 |
| 検査の必要性 | 必要(歯周病検査など) | 不要(希望すればすぐ受けられる) |
この表からわかるように、歯石除去は治療の一環として行われるのに対し、クリーニングはより予防的で審美的な側面も持つ処置といえます。
歯石除去の内容・メリット
まずは歯石除去の内容とメリットを見ていきます。
歯石除去の内容
歯石除去の基本的な流れは以下のとおりです。
まず、歯周病の状態を確認するための検査を行います。
歯周ポケットの深さを測定したり、レントゲン撮影を行ったりして、歯石の付着状況や歯周病の進行度を把握します。
この検査結果に基づいて治療計画を立てることが、保険診療を受けるための重要な条件となります。
検査後、超音波スケーラーやハンドスケーラーといった専用の器具を使用して歯石を除去していきます。
超音波スケーラーは振動と水流の力で効率的に歯石を取り除くことができますが、細かい部分や深い歯周ポケット内の歯石には、手用のスケーラーも併用し丁寧に除去していきます。
歯石の量や歯周病の進行度によって、治療は複数回に分けて行われることが一般的です。
軽度の場合は1~2回で完了しますが、歯周ポケットが深く歯肉縁下歯石が多い場合には、上下顎を分けたり、さらに細かく分割したりして、4~6回程度の通院が必要になることもあります。
歯石除去の効果・メリット
歯石除去を定期的に受けることのメリットは、歯周病の予防と改善が挙げられます。
歯石を取り除くことで、歯ぐきの炎症が抑えられ、歯周ポケットの深さが改善されていくほか、歯ぐきからの出血も減少し、健康的な歯ぐきを取り戻すことが可能です。
歯石やプラークに含まれる細菌が口臭の原因となることが多いため、これらを除去することで口臭が改善されるケースがよく見られます。
また、歯石を除去して口腔内を清潔に保つことで、虫歯の原因菌が繁殖しにくい環境を作ることができ、虫歯のリスクも軽減できます。
クリーニング(PMTC)の内容とメリット
次に、クリーニング(PMTC)について詳しく見ていきましょう。
PMTCの施術内容
PMTCは、「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の頭文字を取った名称で、歯科医師や歯科衛生士による専門的な歯のクリーニングを意味します。
歯石除去に加えて、バイオフィルムの除去、着色汚れの除去、歯面の研磨、フッ素塗布など、より総合的なケアを行います。
バイオフィルムとは、歯の表面に形成される細菌の膜のことで、通常の歯磨きでは完全に除去することが困難です。
PMTCでは専用の器具やペーストを使用してこのバイオフィルムを徹底的に除去し、新たな細菌の付着を防ぎます。
また、コーヒーや紅茶、タバコなどによる着色汚れ(ステイン)も丁寧に取り除くことができます。
ホワイトニングのように歯そのものを白くするわけではありませんが、歯本来の白さと透明感を取り戻すことが可能です。
PMTCの流れ
PMTCの一般的な流れをご紹介します。
まず、染め出し液を使用して、磨き残しのある部分を確認します。
これにより、患者様ご自身の歯磨きの癖や磨きにくい場所を把握することができます。
次に、超音波スケーラーで歯石や歯垢を除去した後、ジェットクリーニングやエアフローと呼ばれる機器を使って、微細なパウダーを水流で吹き付けて着色汚れやバイオフィルムを除去していきます。
続いて、専用のラバーカップやラバーチップ、回転ブラシなどを使って、研磨剤入りのペーストで歯の表面や歯間を丁寧に磨き上げます。
歯の凹凸に合わせて複数の器具を使い分けることで、隅々までツルツルに仕上げることができます。
最後に、虫歯予防効果の高いフッ素を歯の表面に塗布します。
PMTCで清掃された歯はフッ素が浸透しやすく、より効果的に歯質を強化することが可能です。
フッ素塗布後は30分~1時間程度、飲食を控えることで効果を最大限に引き出すことができます。
PMTCの効果・メリット
PMTCを受けることのメリットは虫歯や歯周病の予防を行えることです。
バイオフィルムを徹底的に除去することで、細菌の繁殖を抑え、病気のリスクを大幅に減らすことが可能です。
歯の表面がツルツルになり、汚れが付着しにくくなり、日々の歯磨きの効果も向上し、口腔内を清潔に保ちやすくなります。
さらに着色汚れが除去されることで、見た目の美しさも向上し、歯本来の白さと輝きを取り戻すことができます。
また、細菌や汚れを徹底的に除去することで、口臭の原因を取り除くことが可能です。
矯正治療中の方や、ブリッジ・インプラントなどの補綴物が入っている方にとっても、通常の歯磨きでは届きにくい部分まで清掃できるため、特に効果的です。
歯石除去の費用について
歯石除去の費用は、保険適用か自由診療かによって大きく異なります。
保険適用の場合
保険診療で歯石除去を受ける場合、3割負担の方で初診時は検査代を含めて3,000~4,000円程度が相場となります。
これには、歯周病検査、レントゲン撮影(必要な場合)、歯石除去の費用が含まれています。
2回目以降の通院では、1回あたり1,500~2,500円程度の費用がかかります。
歯石の量や歯周病の進行度によって通院回数が変わるため、総額は個人差があります。
保険適用で歯石除去を受けるためには、歯科医師による診査・診断が必要で、歯周病や歯肉炎などの病気があると判断された場合に、治療の一環として保険適用となります。
自由診療の場合
自由診療で歯石除去を行う場合、費用は5,000~20,000円程度と幅があります。
歯科医院によって料金設定が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
自由診療のメリットは、検査なしでも歯石除去だけを単独で受けられること、1回の通院で全体の処置を完了できる場合が多いこと、時間をかけて丁寧な処置を受けられることなどが挙げられます。
その他費用に影響する要因
歯石除去の費用は、以下のような要因によって変動します。
歯石の量が多い場合や歯周病が進行している場合は、複数回の通院が必要となり、総額が増えることがあります。
また、深い歯周ポケット内の歯石除去には麻酔が必要になることがあり、その分の費用も加算されます。
レントゲン撮影が必要な場合は、その費用も追加されますので、初診料や再診料も忘れずに計算に入れておきましょう。
クリーニング(PMTC)の費用について
PMTCは基本的に自由診療となるため、費用は歯科医院によって異なります。
費用相場
PMTCの費用相場は5,000~15,000円程度です。
ただし、処置にかかる時間や内容、使用する機材や薬剤によって料金が変わります。
保険適用について
PMTCは予防を主な目的とした処置であるため、基本的には保険適用外となります。
ただし、歯周病治療の一環として行う場合など、一部のケースでは保険診療内で実施できることもあります。
通院回数と施術時間の目安
歯石除去とクリーニングでは、通院回数や施術時間も異なります。
歯石除去の場合
歯石除去の施術時間は1回あたり30~60分程度ですが、歯石の量や部位によって時間が変動します。
通院回数も口腔内の状態によって大きく異なります。
歯肉縁上歯石のみの場合は1回で完了することもありますが、歯周病が進行して歯肉縁下歯石が多い場合は、上下顎を分けて2回、さらに細かく分けると4~6回程度の通院が必要になります。
保険診療の場合、1回の診療で行える処置の範囲に制限があるため、どうしても通院回数が多くなる傾向があります。
一度にすべての歯石を取ると歯ぐきへの負担が大きく、痛みや出血の原因になるため、適切な間隔を空けて処置を行うことが大切です。
クリーニングの場合
PMTCの施術時間は60~90分程度で、基本的に1回の通院で完了します。
じっくりと時間をかけて丁寧に処置を行うことができるのが特徴です。
ただし、歯石の量が非常に多い場合は、先に保険診療で歯石除去を行ってから、PMTCを受けることをおすすめします。その方が、よりきれいな仕上がりを実現できます。
推奨される通院頻度は3~6ヶ月に1回
歯石除去やクリーニングは、一度行えば終わりというものではありません。
一般的には、3~6ヶ月に1回の定期的なメンテナンスが推奨されています。
というのも、口腔内の細菌は時間とともに再び増殖し、3~4ヶ月程度で元の状態に戻ってしまうためです。
ただし、虫歯や歯周病のリスクが高い方、歯周病が進行している方、糖尿病などの全身疾患がある方は、より短い間隔(1~2ヶ月に1回など)でのメンテナンスが必要になることもあります。
定期的なメンテナンスを継続することで、虫歯や歯周病を早期に発見し、大がかりな治療を避けることができ、結果として、長期的には治療費の削減にもつながります。
結局どちらを選ぶべき?
歯石除去とクリーニング、どちらを選ぶべきかは、以下のポイントを参考にしてください。
歯ぐきから出血がある、歯ぐきが腫れている、歯がグラグラするといった症状がある場合は、まず保険診療での歯石除去を受けて歯周病の治療を行うことが優先です。
定期的に歯石除去を受けている方で、さらに予防効果を高めたい、歯の着色が気になる、より丁寧なケアを受けたいという場合は、PMTCがおすすめです。
もちろん、両方を組み合わせることも可能です。
保険診療で定期的に歯周病のチェックと歯石除去を行いながら、年に1~2回はPMTCを受けるという方法も効果的です。
クリーニングなら長野県松本市の「望月デンタルクリニック」
歯石除去とクリーニング(PMTC)は、どちらも口腔内の健康を守るために大切な処置ですが、目的や内容、費用に違いがあります。
歯石除去は歯周病の治療・予防を主な目的とし、保険診療で受けられることが多い処置です。
一方、クリーニング(PMTC)はより総合的な口腔ケアを提供し、予防効果と審美性の向上を目的とした自由診療の処置となります。
どちらを選ぶべきかは、お口の状態やご希望によって異なります。
まずは歯科医院で検診を受け、歯科医師に相談しながら、ご自身に合った処置を選択することが大切です。
長野県松本市の望月デンタルクリニックでは、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた最適なケアプランをご提案しております。
歯石除去やクリーニングについて、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
| 医院名 | 望月デンタルクリニック |
| 院長 | 望月 一彦 |
| TEL | 0263-24-8148 |
| 所在地 | 〒390-0851 長野県松本市両島1-13 |
| 診療時間 | 9:00〜13:00 / 14:30〜18:00 |
| 休診日 | 木曜・日曜・祝日 |
参考文献
- 厚生労働省「歯科診療における医療広告ガイドライン」
- 日本歯周病学会「歯周病の予防と治療ガイドライン」
- 日本歯科医師会「歯のクリーニングとメンテナンス」
