歯科医院とサロンのホワイトニングは何が違う？どっちが良いの？現役の歯科医師が解説

最近はSNSの普及に伴う美意識の高まりから、ホワイトニングを検討する方も増えています。

そんな中、昨今は歯科医院だけでなく、ホワイトニング専用サロンやエステサロンでもホワイトニングサービスが提供されるようになり、「どちらを選べばいいの？」と迷われる方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、歯科医院とサロンのホワイトニングには、使用できる薬剤や施術者、そして得られる効果に大きな違いがあります。

価格だけで判断してしまうと、期待した結果が得られないこともあるため、それぞれの特徴をしっかり理解した上で選択することが大切です。

この記事では、長野県松本市の望月デンタルクリニックの院長が、歯科医院とサロンのホワイトニングの違いについて歯科医師の立場から詳しく解説します。

ホワイトニングの仕組み

ホワイトニングとは、歯の表面や内部に沈着した色素を化学的に分解し、歯を白くする施術のことで、毎日の歯磨きでは落としきれない歯の黄ばみやくすみを改善することができます。

歯が黄ばむ主な原因には、以下のようなものがあります。

• コーヒーや紅茶、赤ワインなどの色素沈着
• タバコのヤニによる着色
• 加齢による歯の内部（象牙質）の黄ばみ
• 遺伝的な歯の色

これらの黄ばみを白くする方法として、ホワイトニングは多くの方に選ばれています。

ただし、ホワイトニングには「歯を漂白して本来の色よりも白くする方法」と「歯の表面の汚れを落として本来の色に戻す方法」があり、この違いが歯科医院とサロンの大きな違いにつながっています。

ホワイトニングは保険適用外

ホワイトニングは、見た目の美しさを目的とした審美治療に分類されるため、健康保険は適用されません。

そのため、歯科医院やサロンがそれぞれ独自に料金を設定しており、施設によって費用に差があります。

虫歯や歯周病の治療とは異なり、全額自己負担となることを理解した上で、ご自身の予算と目的に合わせた選択をすることが重要です。

歯科医院とサロンのホワイトニングの5つの違い

歯科医院とサロンのホワイトニングには、様々な面で違いがあります。

ここでは主要な5つの違いについて詳しく見ていきましょう。

使用できる薬剤と法律上の規制

最も重要な違いは、使用できる薬剤です。

歯科医院では、「過酸化水素」や「過酸化尿素」といった漂白効果のある医薬品を使用することができます。

これらの薬剤は、歯の内部（象牙質）にまで浸透し、色素を分解することで、歯本来の色よりも白くすることが可能です。

過酸化水素は医薬品に指定されており、歯科医師または歯科医師の指導下で歯科衛生士のみが取り扱うことが法律で定められています。

一方、サロンでは歯科医師が在籍していないため、過酸化水素などの医薬品を使用することはできません。

主に「ポリリン酸ナトリウム」や「炭酸水素ナトリウム（重曹）」、「酸化チタン」といった成分を使用します。

これらの成分には漂白効果はなく、歯の表面に付着した着色汚れを落とす効果にとどまります。

つまり、サロンのホワイトニングは、歯のクリーニングに近い性質のものと考えることができます。

施術者の資格と専門性

歯科医院では、国家資格を持つ歯科医師や歯科衛生士が施術を行います。

歯の構造や口腔内の状態について専門的な知識と技術を持っているため、安全性が高く、個々の患者様の状態に合わせた適切な施術が可能です。

また、施術前には必ず口腔内の診査を行い、虫歯や歯周病などの問題がないか確認します。

万が一、ホワイトニング中や施術後に歯や歯茎にトラブルが生じた場合でも、すぐに適切な処置を受けることができます。

サロンでは、医療資格を持たないスタッフが施術をサポートするか、もしくはお客様自身で施術を行う「セルフホワイトニング」が基本となります。

医療行為は行えないため、歯や歯茎に何か問題が生じても、その場での治療はできません。

ホワイトニング効果の違い

歯科医院では、漂白効果のある過酸化水素を使用するため、歯の内部から色素を分解し、歯本来の色よりも白くすることができます。

効果の現れ方は施術方法によって異なりますが、多くの場合、施術後すぐに白さを実感できます。

サロンでは漂白効果のある薬剤を使用できないため、歯の表面に付着した着色汚れを落とすことはできても、歯そのものを白くする効果は限定的です。

元々の歯の色以上に白くすることは難しいと言えます。

費用と持続期間

サロンのホワイトニングは手頃な価格設定が魅力ですが、歯科医院のホワイトニングは高濃度の薬剤と専門的な技術により、より確実な効果が期待できます。

期間に関しては、歯科医院でのホワイトニングが約6ヶ月～1年間効果が持続することが多いのに対し、サロンでのホワイトニングは3週間程度と比較的短い傾向にあります。

施術の安全性

歯科医院では、ホワイトニングを行う前に必ず専門的なクリーニングを行い、虫歯や歯周病などの問題がないか確認します。

専用の機器や器具を使って、着色や歯石をしっかり除去することで、ホワイトニング効果も高まります。

また、定期検診などで継続的に歯の状態を診てもらえるため、万が一トラブルが生じた場合でも迅速に対応できる体制が整っています。

サロンでは専門的な機材や設備が用意されておらず、医療資格を持つスタッフもいないため、歯や口腔内に問題が生じた際の対処ができません。

ホワイトニング前の口腔内診査も行われないため、虫歯や歯周病がある状態で施術を受けてしまうリスクもあります。

歯科医院のホワイトニングの種類

歯科医院では、患者様のライフスタイルや希望に合わせて、複数のホワイトニング方法から選択することができます。

オフィスホワイトニング

オフィスホワイトニングは、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が施術を行う方法です。

メリット

• 高濃度の薬剤を使用するため、即効性がある
• 1回の施術でも効果を実感できることが多い
• 専門家にすべて任せられるので、手間がかからない
• 施術時間は1回あたり60分～90分程度

デメリット

• 費用が比較的高額（1回20,000円～70,000円程度）
• 効果の後戻りが比較的早い（3～6ヶ月程度）
• 施術中や施術後に歯がしみることがある

結婚式や面接など、大切なイベントを控えていて短期間で歯を白くしたい方に適しています。

ホームホワイトニング

ホームホワイトニングは、歯科医院で作成したマウスピースと処方された薬剤を使って、自宅で行うホワイトニングです。

メリット

• 自分のペースで施術できる
• オフィスホワイトニングより効果が長持ちする（6ヶ月～1年程度）
• 費用がオフィスホワイトニングより抑えられる（20,000円～40,000円程度）
• 歯科医師の監修下で医療用薬剤を使用できる

デメリット

• 効果が現れるまでに1～2週間程度かかる
• 毎日1～2時間の装着が必要で、継続する手間がかかる
• マウスピースの管理や薬剤の塗布を自分で行う必要がある

忙しくて頻繁に歯科医院に通えない方や、時間をかけてじっくり白くしたい方におすすめです。

デュアルホワイトニング

デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた方法です。

メリット

• 短期間で白くなり、効果も長持ちする
• 両方の良いところを取り入れた最も効果的な方法
• 色戻りしにくい

デメリット

• 費用が最も高額（50,000円～100,000円程度）
• 両方の施術を行うため、時間と手間がかかる

本格的に歯を白くしたい方、より長期間白さを維持したい方に最適な方法です。

サロンのホワイトニング（セルフホワイトニング）

サロンで提供されるホワイトニングは、一般的に「セルフホワイトニング」と呼ばれており、LEDライトを照射する施術をお客様自身で行い、スタッフはサポートや機器の説明をする形となります。

セルフホワイトニングのメリット

• 費用が安い（数3,000円〜10,000円程度）
• 気軽に通える
• 痛みや刺激が少ない
• 美容感覚で継続しやすい

初めてホワイトニングを試してみたい方や、歯科医院に行くのは少し敷居が高いと感じる方には、入門として適しているかもしれません。

セルフホワイトニングのデメリット

• 歯本来の色以上に白くすることは難しい
• 内部からの漂白効果は期待できない
• 効果の持続期間が短い

• 口腔内の診査が行われない
• トラブルが起きてもその場での医療的対処ができない
• スタッフの技術や知識にばらつきがある

歯科医院のホワイトニングがおすすめな人

• しっかり白くしたい（効果を実感したい）
• 歯の黄ばみが強い人や長年の着色がある
• 医師の管理下で安全に行いたい
• 虫歯・知覚過敏など歯の状態も一緒にチェックしたい
• 一度で白くしたい、短期間で結果を出したい
• 多少の費用がかかっても確実な効果を求めたい

歯科医院でのホワイトニングは、医師の管理下で高濃度の薬剤を使うため、短期間で高い効果を得られます。

特に、歯の黄ばみが強い人や、結婚式・イベントなど直近で白くしたい人に向いています。

また、虫歯や知覚過敏のチェックも同時に行えるため、安全面でも安心のため、費用は高めですが、「しっかり白く・長持ちさせたい」という人におすすめです。

サロンのホワイトニングがおすすめな人

• 手軽に始めたい・コスパ重視
• 自然な白さで十分
• 痛みや刺激が苦手
• 美容感覚で通いたい
• 歯科医院が苦手な
• 継続して白さをキープしたい

サロンでのセルフホワイトニングは、低濃度の薬剤を使うため刺激が少なく、誰でも気軽に始められます。

歯科医院のように緊張感がなく、エステ感覚で通えるのも魅力です。

強い白さよりも自然で健康的なトーンアップを目指す人に向いており、コストを抑えて定期的にメンテナンスしたい人にもおすすめです。

歯科医院でのホワイトニングは長野県松本市の「望月デンタルクリニック」

歯科医院とサロンのホワイトニングには、使用できる薬剤、施術者の資格、得られる効果、費用など、様々な違いがあります。

どちらを選ぶかは、目的、予算、求める効果によって異なりますが、本格的に歯を白くしたい、安全性を重視したい、長期的な効果を求めたいという方には、歯科医院でのホワイトニング、費用をを強くおすすめします。

長野県松本市の望月デンタルクリニックでは、オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング、デュアルホワイトニングの3つからホワイトニングを選択することが可能です。

患者様一人一人の歯の状態やご希望をしっかりとお伺いし、最適なホワイトニング方法をご提案させていただきますので、歯科医院でのホワイトニングに興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考情報

• 厚生労働省：医療広告ガイドライン
• 日本歯科医師会ホワイトニング関連資料